松山地方裁判所 昭和62年(わ)99号 判決
判決主文
一 被告人中山ビルディング株式会社を罰金二、五〇〇万円に処する。
二 被告人中山貞温を懲役二年及び罰金一、八〇〇万円に処する。
三 被告人中山貞温において右二項の罰金を完納することができないときは金三万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。
四 被告人中山貞温に対し、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
五 訴訟費用は被告人らの連帯負担とする。
(罪となるべき事実の要旨)
被告会社中山ビルディング株式会社は、愛媛県今治市南宝来町二丁目二番地の五に本店を置き、貸ビル業を経営するもの、被告人中山貞温は、同会社の代表取締役としてその業務の全般を統括掌理するとともに、同所に事業所を設け、「中山病院」の名称で医業を営んでいるものであるが
第一 被告人中山貞温は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の支払利息を計上するなどの不正な方法により、所得の一部を秘匿した上
一 昭和五七年五月一日から同五八年四月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が一億五、五一六万二、二八五円で、これに対する法人税額が六、二一三万九、六〇〇円であるのに、同年六月三〇日、同市常盤町四丁目五番地の一所在の今治税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額が三、五三三万二、四五八円で、これに対する法人税額が一、一九五万九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右正規の法人税額と申告税額との差額五、〇一八万八、七〇〇円を免れ
二 同五八年五月一日から同五九年四月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が九、一七四万七、六八三円で、これに対する法人税額が三、八六八万四、二〇〇円であるのに、同年六月三〇日、前記税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額が二、九二四万六、四七〇円で、これに対する法人税額が一、一六二万一、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右正規の法人税額と申告税額との差額二、七〇六万二、九〇〇円を免れ
三 同五九年五月一日から同六〇年四月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が一億三、六九八万九、〇三七円で、これに対する法人税額が五、八三〇万一、七〇〇円であるのに、同年六月二九日、前記税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額が三、三二〇万八三二円で、これに対する法人税額が一、三三六万一、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右正規の法人税額と申告税額との差額四、四九四万六〇〇円を免れ
第二 被告人中山貞温は、自己の所得税を免れようと企て、経費の一部を架空に計上するなどの方法により、所を秘匿した上
一 昭和五七年分の実際の所得金額が二億八三七万五、五〇五円で、これに対する所得税額は一億七四六万四、一〇〇円であったのに、同五八年三月一五日、同市常盤町四丁目五番地の一所在の今治税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億六、五二四万三、三二八円でこれに対する所得税額が七、五一一万四、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の方法により、右正規の所得税額と申告税額との差額三、二三四万九、七〇〇円を免れ
二 同五八年分の実際の所得金額が一億九、〇五一万七、六七五円で、これに対する所得税額は九、九八三万八、九〇〇円であったのに、同五九年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億四、六七一万七、六七九円で、これに対する所得税額が六、六九八万八、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右正規の所得税額と申告税額との差額三、二八五万円を免れ
三 同五九年分の実際の所得金額が一億四、〇六九万五、四二三円で、これに対する所得税額は六、〇七〇万八〇〇円であったのに、同六〇年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億二、一五四万六九六円で、これに対する所得税額が四、七二九万二、三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右正規の所得税額と申告税額との差額一、三四〇万八、五〇〇円を免れ
たものである。
(適用した罰条)
被告人会社につき
法人税法一五九条一、二項、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条
被告人中山貞温につき
法人税法一五八条一項、所得税法二三八条一、二項、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項、一八条、二五条一項、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条
(量刑の理由)
本件は長期かつ多額の脱税事件であり、大病院の院長として社会の指導的立場にあった者が、かかる国民の基本的義務に違反した刑責には軽からざるものがあるというべきであるが、被告人中山は本件犯行を素直に認め、重加算税を含め、納付義務を果たし、今後違反なきことを誓って改悛の情顕著であるところ、これまで前科前歴なく、地域医療に尽力してきたものであること、すでに報道等により社会的制裁を受けていること、そのほか健康状況等諸般の情状を総合勘案して、主文のとおり量刑した。
裁判所書記官 谷本義昭
(裁判官 篠森真之)